いろんな健康・医療の「情報」に惑わされないための31のヒント （単行本）

　私たちの身の回りには、健康や医療に関する情報がたくさんあります。いやむしろ、健康や医療に関する情報であふれ返っていると言ってもいいかもしれません。

　テレビの情報番組やショッピング番組では、健康や医療に関するさまざまな“お悩み”を解決する（と称する）情報が、毎日のように紹介されています。

ダイエットをしたい人には、簡単にできておいしい（？）
レシピや低カロリーでも満足できる（？）
スイーツ、足腰を鍛えたい人には、ずぼらな人でも続けられる（？）
トレーニング法や１日たった３分で済む（？）
運動器具、薄毛が気になる人には、頭頂部をふっくら見せる（？）
ヘアアレンジや聞いたことがない成分が入った（？）シャンプー……　

例を挙げればきりがありません。

　そして、この手の情報には、必ずと言ってよいほど、試してみて「よかった！」という体験談がついてきます。その人が実際に体験したことを話しているのか、視聴者が確認することはできません。もしかしたら、よい印象を話すようにスポンサーから依頼されただけかもしれません。

　ただそれでも、嬉しそうに「よかった！」という人を見ると、なんだか自分にもよさそうに思えてしまいます。
［…］
　健康や医療に関する情報を入手し、その内容を理解し、さらに評価して、その後の判断や行動に生かすかどうかを最終的に決めるのは、あくまで私たち自身です。　（本書「はじめに」より）

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健康や医療に関する情報に出合ったら注意すべきことは、
大きく二つにまとめられます。
一つは、信頼できる情報源を活用すること、
もう一つは、〝気を引く情報〟
に接したら、いったん立ち止まって吟味することです。
読者の皆様が健康や医療に関する情報を読み解くときに、
本書から何か一つでもヒントを得られれば幸いです。

はじめに

第１章　やっぱり気になる！　健康・医療情報
１　もっと健康になりたい！
【コラム】「２０２５年問題」とは
２　情報はどこにあるのか
【コラム】医療情報のお役立ち度
３　インターネット上の情報の落とし穴
４　答えがある疑問、答えがない疑問
【コラム】病院の言葉は分かりにくい！
５　ヘルスリテラシーを高めよう　
【コラム】日本人のヘルスリテラシー

第２章　まず確認したい五つのチェックポイント
ヒント１　それっていつの情報ですか？　
ヒント２　その情報は何のため？
ヒント３　書いた人は誰ですか？
【コラム】医学論文の著者であるということ
ヒント４　情報源をたどれますか？
【コラム】根拠に基づく医療(ＥＢＭ)
ヒント５　違う情報と比べてみよう
ヒント６　ご存じですか？ 診療ガイドライン
【コラム】ランダム化比較試験とシステマティックレビュー
ヒント７　薬の情報源
【コラム】患者に知らされなかった薬の情報

第３章　数字には読み方がある
ヒント８　数字で分かる「どのくらい？」
ヒント９　レビューの数では分からない　
ヒント10　大きい数字は大きく見える
【コラム】 「リスク」の意味を深堀りする
ヒント11　「10％減」でどれだけ減った？
【コラム】治療の効果の表し方　
ヒント12　飲んだ。治った。効いた？
ヒント13　「有意差」って何の差？
ヒント14　メリットもあればデメリットもある
【コラム】この薬、飲んだほうがいい？　飲まなくてもいい？
ヒント15　数値目標の落とし穴

第４章　グラフにも読み方がある
ヒント16　カッコいいグラフは分かりにくい
ヒント17　グラフはまず縦軸を見よ
ヒント18　割合が小さければ少数派？
【コラム】薬の発売後に副作用が判明するわけ

第５章　統計にも読み方がある
ヒント19　「70％生存」か「30％死亡」か
【コラム】がんの５年生存率　
ヒント20　アンケートに答えたのは誰？
ヒント21　集めたデータが正確でなかったら
ヒント22　隠れた「第三の因子」
ヒント23　それは原因？それとも結果？
【コラム】健康情報なっとくん　

第６章　数字にならない情報　
ヒント24　クチコミに弱い私たち
ヒント25　「利益相反」って何ですか
ヒント26　患者の体験に学ぶ　
【コラム】闘病記のソムリエ、星野史雄さん

第７章　自分の中にあるバイアス
ヒント27　自然のものなら害はない？
【コラム】リスクを大きく感じてしまう10の要因
ヒント28　今のままで大丈夫　
【コラム】がん検診の不利益～偽陰性・偽陽性、過剰診断、偶発症～　
ヒント29　将来より今が大切！
ヒント30　損をしたくない心理
【コラム】行動経済学と「ナッジ」
ヒント31　周りの人に合わせておこう

おわりに――情報には限界がある