江戸のメディア王・蔦重がヒットさせた本とは? - 2025.02.13
新刊
本をともす
二〇二二年四月の開店以来、早いもので三年という時間が経過した。毎日、決めた時間に店を開けて、夜が訪れると店を閉める。単純な日々の繰り返しのようでいて、実際はそうではなく、毎日何かが発生する。バタバタするときもしょっちゅうある。
店を開けたあとはお客さんを待つ。基本的にはただ待つ。考えれば出版社に勤務していたときも待つ仕事が多かった。著者から原稿を、カメラマンから写真を、外に撮影に行けば、雲に隠れた太陽がふたたび顔を出すまで待つこともあった。だからなのか、待つことは嫌いではない。
二十五年の会社員生活を経て開業した葉々社は、本屋と出版社を兼務している。本を売りながら、本を作ってもいる。ふたつの出版社に所属していた頃は、仕事が忙しすぎて、自分自身がどんな仕事に向いているのか、真剣に考えたことはなかったように思う。これまでずっと雑誌や書籍の編集に携わってきたのだが、営業の仕事にはいちども就いてこなかった。本屋の仕事を始めてみて、自分はもしかすると営業に向いていたのではないかと感じている。リアルな場所としての本屋、イベント出店、オンラインストアをはじめ、毎日いろんなお客さんとのやりとりがある。本の話を聞いたり、仕事上の悩みについて相談を受けたり、日々、さまざまな年代のお客さんの人生に少しだけ触れている。まだ、三年程度しか本屋の仕事をしていないけれど、五十歳にしてたどり着いたこの職業は、天職なのかもしれない。いまはそう思っている。それほどまでに本屋は楽しいし、やりがいもある。
本書は、私が葉々社を開業するまでと、開業してからの記録である。毎日、どんなことを考えながら本屋の仕事を継続してきたのか、また、目の前に立ちふさがる課題に対して、どう向き合ってきたのかについて、具体的な数字を示しつつ振り返っている。
本屋が好きな人、本がないと生きていけない人たちのことを想像しながら原稿を書いた。本書をきっかけにして、全国各地に小さな本屋がもっと増えていくことを願っている。
店を開けたあとはお客さんを待つ。基本的にはただ待つ。考えれば出版社に勤務していたときも待つ仕事が多かった。著者から原稿を、カメラマンから写真を、外に撮影に行けば、雲に隠れた太陽がふたたび顔を出すまで待つこともあった。だからなのか、待つことは嫌いではない。
二十五年の会社員生活を経て開業した葉々社は、本屋と出版社を兼務している。本を売りながら、本を作ってもいる。ふたつの出版社に所属していた頃は、仕事が忙しすぎて、自分自身がどんな仕事に向いているのか、真剣に考えたことはなかったように思う。これまでずっと雑誌や書籍の編集に携わってきたのだが、営業の仕事にはいちども就いてこなかった。本屋の仕事を始めてみて、自分はもしかすると営業に向いていたのではないかと感じている。リアルな場所としての本屋、イベント出店、オンラインストアをはじめ、毎日いろんなお客さんとのやりとりがある。本の話を聞いたり、仕事上の悩みについて相談を受けたり、日々、さまざまな年代のお客さんの人生に少しだけ触れている。まだ、三年程度しか本屋の仕事をしていないけれど、五十歳にしてたどり着いたこの職業は、天職なのかもしれない。いまはそう思っている。それほどまでに本屋は楽しいし、やりがいもある。
本書は、私が葉々社を開業するまでと、開業してからの記録である。毎日、どんなことを考えながら本屋の仕事を継続してきたのか、また、目の前に立ちふさがる課題に対して、どう向き合ってきたのかについて、具体的な数字を示しつつ振り返っている。
本屋が好きな人、本がないと生きていけない人たちのことを想像しながら原稿を書いた。本書をきっかけにして、全国各地に小さな本屋がもっと増えていくことを願っている。
第1章 のれんのある本屋
・やっぱり紙の本が好き
・ひとり出版社か、ひとり本屋か
・すこぶる評判の悪いのれん
・物件選びは直感で
・本は「どこから」「何を」「いつ」仕入れる
・棚を構成するもの
・ギブ&ギブ
第2章 半径50センチを幸せにする仕事
・待つということ
・一冊を大切に売る
・適切な情報量
・世代を超えて
・出張本屋
・一年目の振り返り
・展示スペースから広がる世界
・客注
・オンラインストアの向こう側
・梅屋敷ブックフェスタ
・分室スタート
・二年目の振り返り
・信頼関係のその先に
第3章 顔が見える店主
・読書について
・本屋なのに本が読めない
・偶然の出会い、必然の出会い
・無理はしないと決めている
・アイデアの源泉
・記憶と読書
第4章 本をともす
・ひとり出版社の人と本
・街に本屋があることで
・持続可能な本屋の形
・私の好きな本屋
・大型書店の経営層のみなさまへ
・三年目の振り返り
・やっぱり紙の本が好き
・ひとり出版社か、ひとり本屋か
・すこぶる評判の悪いのれん
・物件選びは直感で
・本は「どこから」「何を」「いつ」仕入れる
・棚を構成するもの
・ギブ&ギブ
第2章 半径50センチを幸せにする仕事
・待つということ
・一冊を大切に売る
・適切な情報量
・世代を超えて
・出張本屋
・一年目の振り返り
・展示スペースから広がる世界
・客注
・オンラインストアの向こう側
・梅屋敷ブックフェスタ
・分室スタート
・二年目の振り返り
・信頼関係のその先に
第3章 顔が見える店主
・読書について
・本屋なのに本が読めない
・偶然の出会い、必然の出会い
・無理はしないと決めている
・アイデアの源泉
・記憶と読書
第4章 本をともす
・ひとり出版社の人と本
・街に本屋があることで
・持続可能な本屋の形
・私の好きな本屋
・大型書店の経営層のみなさまへ
・三年目の振り返り