★ 本書【はじめに】を読む(PDF)
★ 本書【もくじ】を読む(PDF) これは現代の「ヘレン・ケラー物語」だ! 4代続けて東大卒という超名門の家柄に生まれたのに、ADHDにASD傾向、学習障がいという3重苦で、幼稚園すら二時間で中退させられた著者。小学2年生までは特別支援学級に通うも「赤ちゃん扱い」になじめず、強く希望して通常学級に転籍。しかし、周囲とトラブルを起こし、テストで点がとれないとパニックになっては教室を飛び出す毎日を送り、やがて「死にたい」という衝動にとらわれるようになる。 そんな著者が変わったきっかっけは、千代田区立麴町中学校に入学し、大胆な学校改革を実践していた校長の工藤勇一氏(ベストセラー『学校の「当たり前」をやめた。』の著者)に出会ったことだった。 「3重苦」だったヘレン・ケラーは、サリバン先生に出会って「Water」という言葉を手のひらに書いて教わるまで、暗闇の世界で生きていた。 著者は、その気持ちが分かる気がすると言う。混沌とし、恐怖そのものだったこの世界。それが、麹町中学校でもがき苦しみながら世界の輪郭をつかみ、卒業後も工藤氏から学んだことをもとに試行錯誤を続け、少しずつ自分にあう生き方をつかんできたのだと話す。 ヘレン・ケラーを目覚めさせた「Water」という言葉は、著者にとっては「自律」という言葉だった。 工藤氏の教育目標は「自律した生徒を社会に送り出す」ことだ。「自律」「尊重」「創造」を掲げ、社会を生きる当事者意識をもつ生徒を育てるという工藤氏のもとで様々な学びを経験するうちに、著者は親や名門家系に対する劣等感、周囲に対する憎しみから解放され、「自律」して生きる大人になるために、「自己変革」に挑むようになる。 中学卒業までに英検準2級とニュース検定2級などを取得。高校は英国に留学し、現在は時折トラブルを抱えながらも落ち着いて対処しつつ、人並の自己肯定感とともに、前向きに生きている。 人生は誰か他人から与えられたり押し付けられたりするものではなく、自分の選択と行動でつくりあげるもの。どんなにダメな自分でも、自分の取扱説明書を自分の力でつくりあげることが可能。どうしようもないほどダメな「不良品」を自認する著者が、地を這うようにしてたどり着いた希望の境地とは?
■はじめに―少し長めの自己紹介もかねて
・故障だらけの「不良品」として生まれて
・英名門パブリックスクール~東大入学が前提の家系に生まれたのに幼稚園すら二時間で中退した僕
・支援学級での2年間~通常学級への移動。6年間で僕のライフポイントはゼロ寸前
・死を考える毎日で麹町中学校校長・工藤勇一先生と出会えた幸運
・すべての発達障がいの人に知ってほしい、工藤先生のもとで編み出した「自己変革」のためのメソッド
■パート1 発達障がい児にとって学校生活はこんな感じ
・特別支援学級での扱いに耐えられない
・自分は支援級でも「邪魔者」だと感じて絶望する
・「長期記憶」というサヴァン的な脳の能力(ダジャレではありません)
・教室を飛び出たくて出ていくのではない
・一方的に話し続ける理由
・発表や質問、作文が支離滅裂になる理由
・周囲にからかわれて暴力を起こす
・「メンツ」がすごく大事なのに、みんなの前で怒られる
・「極限」で生きているので、一番じゃないと許せない、負けが認められない
・今のことで精いっぱい。ほんの少し先のことも考えられない
・人が嫌いなのではなく、対立が嫌だからクラスの輪に入らない
・整理整頓が苦手というか、自分が何をもっているのか興味がない
・忘れ物がこわくてランドセルを破壊した話
・不器用過ぎてノートを書くのがやっとで授業どころじゃない
・先生に理解されないことのつらさ―小5で書いた将来の夢は「武器商人になりたい」で大騒動
■パート2 僕を成長させてくれた工藤先生の教え
・発達障がい者の最大の敵「二次障がい」にならずに済んだ奇跡
・麹中で過ごして分かった「高い目標」を掲げることの大切さ
・「人生をやり直す」という目標を実現するための手段を発見
・「ソーシャルスキル」というあいまいな目標に対する疑問
・自分の最上位目標を見つけて西川家の「呪縛」から解放される
・キャリア教育で「いかに生きるか」を考え続けた3年間
・「チャンスを逃すな」
・「タイムマシン・クエスチョン」で時間の有限さに気付く
・「手段と目的を間違えるな」の言葉で生まれた「“P”PDCAサイクル」
・「決められたところへいく」ではなく「自ら企画する」修学旅行で感じた喜び
・僕だけでなく母も変えた「アンガーマネージメント講習会」
・「宇宙人」の僕の言葉を受け止めてくれた工藤先生の「ほんやくコンニャク」
・「他人に理解されなくてもいい」という間違いに気付く
・本当の「聞く力」とは何か考える
・人生で初めて「リーダー」を経験して学んだこと
・「対立は起こるもの」という言葉で他人を許せるようになった僕
・死にたいとばかり言っていた僕を目覚めさせてくれた工藤先生からの一斉メール
・僕の人生を支える澤円さんの卒業講演
●別枠コラム 対立の先にあった世界
■パート3 発達障がい児は勉強ができないという「当たり前」を疑う―教室を脱走していた僕が中3で英検準2級に合格するまで
・発達障がい児こそ勉強をあきらめてはいけない!
・「マインドマップ」を作成し、「学習の動機」を明確にする
・「好きなことにこだわる」というASDの特性を生かして覚える
・盲学校の子ども向けの「ミチムラ式」で漢字を克服
・書字障がいの自分用の「手書きフォント」を発明する
・資格試験はCBTで受ける
・PCのフォントにこだわる
・筆記用具にとことんこだわる
・ノートの紙の色にこだわる
・ノートではなく教科書に書き込んでもいい
・色の付いた透明下敷きを使う
・「目」を鍛えて学習障がいをカバーする
・不安定なバランスボールに座ると勉強に集中できる
・参考書や習い事は「子どもの立場に寄り添っているか」を基準に見極める
■パート4 発達障がい児のQOLを上げるライフハック―僕が怒る自分を認めるようになったわけ
・自分のトラブルの原因を解明する「事故調査委員会」を立ち上げる
・積極的に挨拶する
・鏡を見る習慣を身に付ける
・砂糖をやめる
・カフェインも控える
・自分の「独り言」」に耳を傾ける
・天気予報を味方にする
・工藤流手帳活用術で自分を自由にする
・筆箱や教科書を2つ以上用意する
・いろいろなサービスに慣れておく(行動がワンパターンにならないよう気を付ける)
・チェーン店のメガネを3つ用意する
・「ブルーライトカット」を普段使いする
・イライラ同士の父子で漢方を飲んだ話
・学校や親に積極的に相談するのも「自律」だと心得る
・「怒る」自分を認める
・怒るを我慢しない、怒る勇気をもつ
・自分の怒りの「レベル」ごとの「行動指針」を定める
・家族は「チーム」として協力しあう
■パート5 死のうと思っている発達障がい児に伝えたい、苦しみの先にある「未来」を拓くための戦略
・「合理的配慮」を求めよう
・人のせいにしない、恨まない。愛すべき「一生懸命なやつ」になる
・人よりもたくさん「感謝」する
・一人旅で「小さな冒険」を重ねて、広い世界を知る
・自分の将来を重ねられる「よきロールモデル」を探す
・不登校はOKでも、心はひきこもらない
・武道で「心」を鍛える
・動物や子どもと触れ合う
・つらくてもユーモアを忘れない
・人と分業する
・「自分の経験」ではなく、「歴史」から学ぶ
■おわりに