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「教育問題」はつくられる

――構築主義的な読み方・解き方

〈真実〉でも〈フェイク〉でもなく「つくられる事実」という視点から 教育問題を読み解く、メディアリテラシー実践の書。

著者 北澤 毅
ジャンル 社会・歴史 > 社会学
教育
出版年月日 2025/08/29
ISBN 9784788720558
判型・ページ数 4-6・264ページ
定価 2,640円(本体2,400円+税)
在庫 未刊・予約受付中
〈真実〉でも〈フェイク〉でもなく「つくられる事実」という視点から 教育問題を読み解く、メディアリテラシー実践の書。

深刻な教育問題を解決するには、その問題が〈ある〉のではなく、〈つくられる〉ものであるという逆転の発想が必要だ。
本書は、「非行」「いじめ」「発達障害」などの教育問題について、「問題はつくられる」という構築主義の見方・考え方から詳述する。終わりのない教育問題への新たな対応策を探る画期的〝問題提起〟の書!

"「教育問題」という言葉から何を連想するだろうか。戦後日本を振り返っても、高度経済成長期なら「受験戦争」や「落ちこぼれ」、1980年代になると「少年非行」や「校内暴力」、それに続いて、「いじめ」「不登校」「学級崩壊」「発達障害」などなど、次々と新たな教育問題が生まれては消えていくという歴史を繰り返しているが、絶えず何かは教育問題であり続けていることもまた確かである。とはいえ、現代日本では「受験戦争」や「校内暴力」という言葉はほとんど聞かれなくなったが、それはなぜだろうか。それとは対照的に、「いじめ」は1985年頃に教育問題化してからすでに40年近く経過するが、いまだに教育問題であり続けているのはなぜなのか。なぜ近年になって「発達障害」が教育問題化しているのだろうか。
 そうした「なぜ」に対して、すでにさまざまな議論がなされてきたし、これからも続いていくだろうが、本書はそうした流れとは基本的に異なる問題関心から教育問題にアプローチしようとするものである。
具体的には、教育問題とされてきた多様な問題群のうちの何か、例えば少年非行や発達障害といった個々のテーマに焦点化して論じるのではなく、それら個々の問題事象を総称する言葉である「教育問題」そのものを考察の対象として「教育問題とは何か」という問いに答えようとするものである。
はじめに――教育問題と子ども観
空虚な箱としての「教育問題」/プロセスとしての「子ども期」/現在からの疎外
としての子ども期/不安を生み出す装置としての教育目標/教育問題の「前提」を
問い直す方法としての構築主義

第1章 「事実」はつくられる――「問題」が〈ある〉という前提を問い直す
1.1 「事実はつくられる」
1.2 「いじめ」と「みかん」は同じように「ある」のだろうか
1.3 「体罰教師」の誕生――映画「怪物」の世界から
1.4 構築主義とは何か――相互行為論的犯罪論の系譜を辿りながら
1.5 「人それぞれ」と「真実」との関係を考える
1.6 構築主義的社会問題研究の意義

第2章 非行・犯罪の「凶悪化」イメージをつくりだす――質的変化からみる教育問題
2.1 「問題視」の始め方
2.2 「凶悪化」イメージの問い方――根拠のないイメージが社会を変える
2.3 事件報道に見る凶悪化イメージの形成方法――神戸事件の新聞報道分析から
2.4 公式統計を根拠とする凶悪化イメージの形成方法
2.5 「凶悪化」の根拠としての「強盗激増」――公式統計は組織活動の産物である

第3章 社会的注目を集める「量的増加」言説――公式統計とメディア報道の検証
3.1 量的増加言説の持つインパクト
3.2 「公式統計」「新聞報道」「世論」の影響関係――メディアリテラシーとは何か
3.3 「少年非行戦後第三のピーク」の解読――「組織活動の産物としての公式統計」という視点から
3.4 予言の自己成就としての「少年非行戦後第三のピーク」
3.5 問題解決行動の逆説――「予言の自己成就」という循環構造

第4章 問題現象の動機と原因を探求する――責任帰属を巡る攻防
4.1 原因と動機
4.2 動機とは何か
4.3 「原因」とは何か――原因を問うことは責任を問うことである
4.4 非行の原因は「家庭」なのか――世論調査結果を読む
4.5 循環し再生産される原因の語彙

第5章 学校で「発達障害」の子どもが増えている?――「実態」なのか、「関係」なのか
5.1 急増する発達障害児
5.2 通級指導データの読み方――「制度が増加をもたらしている」ことの意味
5.3 発達障害理解の枠組みづくり――「8・8%」問題の解読
5.4 発達障害は「生得的特性」か「相互行為的達成物」か
5.5 「実践を変える」から「制度を変える」へ

終 章 「教育問題」とは何か――「早期発見」問題を手掛かりに
「教育問題」という箱を問う意義――前提を問う方法としての構築主義/「早期発見」
精神と医療化/逸脱は病気(または障害)なのか――「癌(がん)」と「発達障害」の比
較から/「発見」という構築実践――「今まで見過ごされてきた」への対抗言説を求めて
/「早期」の論理と功罪/早期発見のラベリング効果――功罪の罪への着目/医療の論理
か教育の論理か

引用・参考文献
あとがき

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