発達障がいのわが子が笑顔で自律する育て方 (単行本)

特性とともにしあわせになる55のヒント

単行本

発達障害でトラブルだらけだった息子と、子をサポートし続けた母が、苦しみを克服し幸せを掴むために編み出した育児法を伝える。

著者 西川 裕子
西川 幹之佑
ジャンル 生活・実用・子育て
教育
出版年月日 2023/04/01
ISBN 9784788718739
判型・ページ数 4-6・272ページ
定価 1,760円(本体1,600円+税)
在庫 在庫あり


はじめに―はちゃめちゃな息子がプレゼントしてくれた楽しい人生


 この本は、発達障がいに苦しんだ息子と、母の私、そして家族が、発達障がいとうまく付き合うための工夫を重ね、人生に色を取り戻し、穏やかで幸せな毎日を送るようになるまでの「旅路」を記すものです。

 私が、なぜ本の執筆という大それたことに挑戦しているかと言いますと、2022年2月に刊行された『死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由』(時事通信社)という息子の著書がユニークだと少なくない評判を呼び、今度は親の私に「子育ての経験を書いてみないか」かとお誘いいただいたからです。

 息子の本は、当時はまだ現在ほど有名ではなかった麹町中学校の工藤勇一先生から学んだことを生かし、少しずつ「死にたい」という気持ちを手放していくまでを綴ったものです。自分と同じような境遇で苦しんでいる子どもたちの役にたちたいと考えた息子が、自身の失敗やトラブルも包み隠さずに明かしています。発達障害の当事者が感じていることや内面がよく分かる内容で、親としても「こんなこと考えていたのか」と驚かされることもたくさんありました。

 出版社さんからは、息子がここまで冷静に自分の内面を見つめられるようになった子育ての秘訣を、親の視点から書いてほしいと言われています。息子が小さかった頃にくらべますと、現在は専門家によるたくさんの育児書や当事者の書かれたHOW TO本がたくさんあります。どれも非常に素晴らしく、役立つ内容ばかりで、今さら専門家でもない私が書いた本など不要ではないかと悩みました。

 けれど、編集者さんから「幹之佑さんの本では、ご家族や工藤先生をはじめとした教育関係者、医師など、たくさんの方からサポートがあったことが分かりました。19歳の今の息子さんが笑顔になれる環境を整えたのはご両親です。その経験を書いた本は、必ず誰かの役に立ちます」と言われて、覚悟を決めてお引き受けすることにしました。

 私たち家族にとって、はちゃめちゃな息子の特性があればこそ生まれた素晴らしい出会いもたくさんありました。本書には数々の素晴らしい専門家やプロフェッショナルの方々のお名前を出させてもらっていますが、すべて息子がつないでくれたご縁です。

 失敗もたくさん繰り返し、涙したことも多々ありますが、今振り返ると、そんな日からの数多くの学びを得て、生きる意義を考え、自らの人生を豊かにすることにつながったように気がします。

 そんなふうに私を楽しませてくれた息子に敬意をあらわし、本書では「発達障がい」という言葉を使わずに、「特性のある子」「難しい子」といった言葉を使います。私自身が19年間の子育ての日々の中で、息子に対して私ができる限り使うようにし、何より周りの人からも息子に対して使ってほしかった言葉だからです。

 息子が『死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由』を世に出した理由と同じように、今も日本のどこかで頑張っているもう一人の私に寄り添えるよう、心をこめて書いたつもりです。読んでくださる皆さまのお役に立てることができたら、これほど嬉しいことはありません。


■パート1 特性のあるわが子への接し方
1 「告知」は自律の一歩
2 子どもへの告知が怖い方へお伝えしたいこと
3 療育は早ければ早いほどよい?
4 療育の選び方
5 発達検査の結果は子どもの一部にすぎない
6 言葉が増えないわが子にしたこと
7 息子への「接し方」を変えたら見つかった「魔法の言葉」
8 解決策の提示よりも話を聞くことが大事
9 「子どもに楽をさせるとダメになる」は正しくない
10 思春期にはお互いの「ゾーン」をはっきりさせる
11 家庭で誰が「長」なのかははっきりさせておく
12 ゲーム依存症の脱し方
13 特性のある子の偏食について
14 子どもの安心・安全の場所を増やす
15 体調管理にドライヤーが大活躍
16 ペットが育んでくれた感情と「死生観」
●特別コラム 私が真の意味での父親になるまで(西川高幹)

■パート2 学校生活で親ができる工夫
17 学校とのお付き合いの仕方
18 学校をリスペクトしながら要望ははっきりお伝えする
19 他の保護者の方々とのお付き合いの仕方
20 学校全体、他の子どもや保護者の利益にかなうかも考えて要望を伝える
21 家庭で先生の悪口は厳禁と考える理由
22 悪いときはとことん謝る
23 「自由すぎるわが子でごめんなさい」という最強のフレーズ
24 特性のあるわが子には最適だった公立学校の公平なサポート
25 高校受験は家族一丸で戦う
26 大学選びは専攻や環境を熟慮して
27 わが子の学校が「世界一」
●特別コラム 幹之佑君がやってきた!(精神科医・西松能子)

■パート3 学校がつらいときのサポート
28 大前提は「登校することはすごい」こと
29 「学校が嫌」という言葉の裏を考える
30 よい子じゃなくても学校にいっていい31
31 休むときは「甘えではない」と学校にはっきり伝えて休む
32 必要なのは対処マニュアルじゃない
33 SOSを出す
34 いじめは絶対に許せない・許さない
35 いじめへの対応①—勇気を出して話してくれた我が子の勇気を受け止める
36 いじめへの対応②—親が感情をコントロールする
37 いじめへの対応③—子どもの話を傾聴する
38 いじめへの対応④—子どもが安心できる環境をつくる
39 いじめへの対応⑤—学校へ伝える
40 いじめへの対応⑥—和解できなければ距離を置く
41 いじめへの対応⑦—次に備える
42 いじめへの対応・番外編―緊急事態の場合
43 トラブル予防で他の保護者の方と親しくなることも有効
44 学校に自分の意見を上手にお伝えするコツ
45 大学のサポート不足による学生の取り残し問題
●特別コラム 小学校時代の幹之佑君について(千代田小学校元教諭・森脇勝美)

■パート4 逆境の乗り越え方
46 「長距離走」だと思って子育てする
47 ベストな選択ができなくてもよい
48 「家族の力」と「プロの力」を頼る
49 もしも「ずるい」と言われたら
50 子どもに自分の「ルーツ」を意識させる
51 親のよいところは受け継いで、負の遺産は次世代に残さない
52 親も感情を殺さず、子どもに伝えることで理解し合える
53 ハプニングや失敗、つらかった経験を笑いに変える
54 他人と自分を比較してはいけない
55 どうしようもなくつらいときは、とにかく寝る

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