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「気が付き過ぎる」子どもの日常・学校生活の「悩み」と「伸ばし方」を理解する
■ HSCの特性や、HSCが日常生活と学校生活で感じること、そして安心して、
幸せを感じながら成長するために必要なサポートについて、5つのSTEPで紹介します。
◎子どもの日常、特に学校生活は刺激に満ちています
「大きな声を出す先生が怖い」
「泣いている友達を見るのがつらい」
「『いけないんだー』という友達が苦手」
この本を手にとった方の多くは、わが子がこのような悩みを抱えていて、ご自身もまた悩んでいらっしゃるのではないでしょうか。
私たち大人の毎日とくらべると、子どもの日常生活は実に「刺激的」です。電車や消防車などの大好きな乗り物が通って大喜びしたり、大きな犬に吠えられて泣いたり、初めて通る道にドキドキしたり、いろいろな場面で様々な刺激を受けながら日常生活を送っています。
さらに学校生活がはじまると、子どもはそれ以前の生活と桁違いと言ってもよいほど強い刺激を受けるようになります。いろいろな気質のクラスメイトがいて、先生からは「元気よくご挨拶しましょう」「手を挙げて大きな声で発表しましょう」「給食は残さず食べようね」など、次々とルールや指示が示されます。初めて経験する刺激が次から次へと押し寄せてくる生活を送っています。
◎同じ刺激でも「強すぎる」と感じる子どもが存在します
世の中には、5人に1人という割合でHSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれる子どもが存在します。HSCはとても思慮深く、人の気持ちに敏感で、ほかの子どもには何ともない刺激でも、その刺激が積み重なることで不安になったり疲弊したりします。そのため、学校生活が始まると、例えば次のようなことに「衝撃」を受けることがあります。
・先生の言うことを聞かない子どもがいる
・大泣きしたり大笑いしたりする子どもがいる
・ものを取り合う子どもがいる
・「よい」「悪い」をみんなの前で言う
・要領がよくてずるい子が褒められることがある
・大声で怒る先生がいる
HSCは穏やかでモラルが保たれている環境を求めます。騒ぐクラスメイトを脇目に、先生がいつ怒りだすかと、毎日緊張しながら過ごしています。そして彼らから丁寧に聞くと、学校に居心地の悪さを感じる自分がおかしいのだと自らを責めて疲弊していることもよくあるのです。
一方で、HSCの存在を知らない人からは、こうした思慮深く控え目な態度について、積極性がないなどの誤った評価をされることがあります。そして、HSCはこうした評価を心配する親に負担をかけまいと頑張るうちに燃え尽きてしまったり、自分には価値がないと塞ぎ込んでしまったりすることもあります。こうなると「負のスパイラル」に陥ってしまいます。
◎HSCを「変える」のではなく、よい点を「伸ばす」ことが大切です
HSCは状況を把握し、周りに合わせることが得意なため「社会性」が高いです。誤解がないようにしたいのは「社交性」ではなく「社会性」が高いのです。
学校などの集団生活においては、外向的・活動的で堂々と大きな声で意見を言える子どもが評価されがちです。けれども子どもたちの集団をよく見てみると、HSCが身を削って協調性や共感性を発揮し、貢献していることが必ず分かります。
この子どもたちが適切な環境のもとでそのまま成長を遂げれば、計り知れないほど社会に貢献することになるでしょう。きっと社会全体の幸福度まで上がるはずです。
結論から言えば、HSCの子どもは何かを「変える」必要はまったくありません。むしろ、うまくその資質を伸ばしていければ思慮深いリーダーにもなれるし、わずかな変化も見逃さないすぐれた医師や研究者にもなれます。
本書では、HSCの特性や、HSCが日常生活と学校生活で感じること、そして安心して、幸せを感じながら成長するために必要なサポートについて、5つのSTEPで紹介します。内容は、保護者はもちろん、先生など教育関係者にも読んでもらいたいと願ってまとめました。
HSCについて存分に理解できると、きっと「この子の一番の見方であり続ける」という「覚悟」が芽生えるはずです。そしてわが子がもっている力を誇らしく思い、その伴走者であることの喜びを感じるようになるでしょう。
本書を通じてHSCとHSCを愛情深く育んでいる保護者の皆さん、教育関係者に心からエールを送りたいと思います。
(「はじめに」より抜粋)
【最新刊】大声を出す先生が怖い、泣いている友達を見るのが辛い。そんな敏感な気質の子どもをHSCと呼びます。長年カウンセリングに携わり、時には学校現場にも入ってサポートしてきた著者が、HSCの日常・学校生活の悩みを解決!読めばHSCの子育てに前向きになれるはずです。https://t.co/W8zsSwmgId
— 時事通信出版局 (@jijibook) September 10, 2021
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