諫言を容れる (単行本)

経営のリーダーシップ

単行本

組織で相次ぐマネジメント崩壊。解決のカギは「諫言」。1300年前の古典に「忠告を聴くガバナンス」を学ぶリーダー必読の書。

著者 矢野 弘典
ジャンル 経営・ビジネス
教養
出版年月日 2024/02/20
ISBN 9784788718937
判型・ページ数 4-6変・304ページ
定価 1,650円(本体1,500円+税)
在庫 在庫あり
マネジメント不全による企業・組織の不祥事が相次ぐ。
失敗したリーターに共通した特徴は部下の「諫言(かんげん)」を容れなかったこと。
忖度をして、上長にもの申さない部下、忠言を排除する管理職は組織を蝕む。

中国・唐の時代、道徳文化国家として三百年にわたって栄え、太平の世を築いた皇帝・太宗は臣下に積極的に「諫言」を求めた。

唐では官職「諫議大夫」が置かれ、君主にもの申すのをその役割とした。太宗は徹底して自己抑制のできる君主だった。臣下の諫言をよく聴き、軌道修正に躊躇しない。トップの度量、迎合しない部下。ここには組織のマネジメントの理想がある。

太宗と群臣の対話を記録し、リーダーの姿勢を説いてやまない『貞観政要』。
東芝欧州代表、経団連専務理事、中日本高速道路代表取締役会長CEO、横綱審議委員会委員長を務めた著者がこの古典を読み解く。

新人社員時代に接した土光敏夫氏ら仕事で出会った人々、永年読み込んだ古今の典籍に基づく豊富なエピソードもふんだんに交えた親しみ深い一冊。

第二章では、人物を涵養(かんよう)する書物として指導者に広く読まれ続ける中国・明代の『呻吟語』に基づき、リーダーのあるべき姿について考える。第三章の「企業の社会的責任」では、現代の企業の社会的責任(CSR)について考察する。

(本書から)
「度量とは、人を容れる器の大きさである。度量の大きなリーダーの下では、部下は育ち職場は活性化する。逆に聴く耳を持たず、重箱の隅をつつく体のリーダーでは職場の灯はたちまち消える。組織風土はリーダー次第なのだ」(「周りをイエスマンにしない」)

「度量を大きくすることは人格形成という課題そのものであり、道のりは長く険しい。だが、人は苦しい経験を数多く積む中で見識を高め、人の気持ちが分かるようになり、秘められた自分の可能性にも気付くようになる。(中略)自分の小ささを反省する謙虚さを持ち、生涯学び続ける努力を惜しまない人は、どこまでも大きくなれるのである」(「周りをイエスマンにしない」)

「太宗の求めた才ある優れた人材とは、人徳を備えて人々の信望を集め、歴史を探求して人や国の興亡の理を学び、詩文に親しんで情操を深め、本物の教養を身に着け、事に当たっては果断と実行力を持つ人物である。まさに才徳兼備の人を指す」(「事業の成否は優れた人材の登用による」)
古典の魅力──序にかえて

第一章 帝王学の書『貞観政要』に学ぶ
 傑出したリーダー像
 創業と守成とは、どちらが難しいか?
 水あってこそ、舟は浮かぶ
 リーダーはまず身を正せ
 長所を用いて人を生かす
 明君と暗君はどこが違うか
 安きにあって危きを思う
 弓の良否を名人に聴く
 樹木を植えるように国を治めよ
 小事にも細心の注意をはらえ
 周りをイエスマンにしない
 広く優れた人材を起用する
 上下の心が一つになっているか
 言葉の重み
 皇后の直言と内助の功
 組織が長寿する鍵は何か
 正しい人選と信賞必罰
 後継者の育成
 天下は公のもの
 事実をありのまま伝える勇気
 何が正しいか、初心を忘れない
 三つの鏡に映して、過ちを正す
 打てば響くような上下の信頼関係
 澄んだ川の流れはその源に始まる
 母に感謝する日
 事業の成否は優れた人材の登用による
 ねたみと中傷にどう対処するか
 備えあれば憂いなし
 謙虚さによって有終の美を
 諫言をとがめない
 事業を永続させるための自戒
 学問と読書のすすめ
 仁政を行えば人は慕い集まる
 諫言のタイミング
 遠慮せずに我が過ちを正せ
 大乱後の治は如何にあるべきか
 我が国の武士道と諫言の文化

第ニ章 才徳兼備の人づくり『呻吟語』に学ぶ
 リーダーの等級
 分かりやすい言葉
 多読の戒め
 才智を隠すゆかしさ
 不動心
 徳を積むには「静」
 人が見ていなくても
 感情を制す
 原点に戻る
 志と生き甲斐
 明鏡と識見
 先見の明

第三章 企業の社会的責任とは
 ESG投資に思う
 広がったESGの範囲
 モンゴルの経営者セミナー
 企業の長寿化と経営理念
 貿易摩擦の解決を目指した経済人コー円卓会議 CRT⑴
 貿易摩擦の解決を目指した CRT⑵
 「企業の行動指針」の策定 CRT⑶

おわりに

参考文献抄
索引

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