ジェンダーで読み解く男性の働き方・暮らし方 (単行本)

ワーク・ライフ・バランスと持続可能な社会の発展のために

単行本

ジェンダー格差大国ニッポン、待ったなしの働き方・暮らし方。男性稼ぎ手社会を壊すことは男性の生きづらさを解消する。関係者必読!

著者 多賀 太
ジャンル 社会・歴史
出版年月日 2022/03/15
ISBN 9784788718067
判型・ページ数 4-6・256ページ
定価 1,980円(本体1,800円+税)
在庫 在庫あり
新型コロナウィルスの蔓延にともなうリモートワークの拡大は、男性の働き方と暮らし方を根本から揺るがしている。多くの男性は、仕事場が会社から家庭へと変化し、家庭で過ごす時間が格段に長くなった。それにともない、男性の家事・育児参加の促進が期待される一方で、一部の男性による虐待やDVの増加を懸念する声も聞かれる。

 これまで、男女平等化の流れの中で、長年にわたり男性の仕事中心の生き方が批判され、男性の家庭参加やワーク・ライフ・バランスの必要性が訴えられてきたが、あまり大きな変化は見られなかった。ところが、コロナ禍は、瞬く間にそうした従来の男性のライフスタイルを大きく揺るがした。今後、私たちの働き方と暮らし方はどう変化していくのだろうか。それは、社会の男女平等化を促すのだろうか、それとも形を変えながらも男性優位の社会が持続していくのだろうか。そうした中で、特に男性たちは、どう振る舞い、どう生活を組み立てていけばよいのだろうか。

 コロナ禍に伴う働き方や家庭生活の変化については、すでに多くの論者や各種メディアによってさまざまに論じられているが、男女平等化(ジェンダー平等)という社会の大きな流れを背景とした男性の仕事と家庭生活をめぐる戸惑いに、さらにコロナ禍が追い打ちを掛けようとしている状況を正面から取り上げたものはいまだほとんど見られない。

 本書は、コロナ前からコロナ後にかけての日本社会における男性たちの仕事と家庭生活をめぐる現状と課題について、労働社会学、家族社会学、ジェンダー学などの学術的知見に基づいて多角的に考察し、一般読者に向けて平易な言葉で分かりやすく論じるものである。これにより、混迷を極めるポストコロナ社会に向けて、各職場における新たな職場づくり、各家庭での新たな生活設計、そして個々人による新たな生き方の展望となる1冊である。
序 無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)
第1章 男性稼ぎ手社会の終焉
 1.1 ワーク・ライフ・アンバランスとジェンダー不平等?
 1.2 仕事人間のツケは老後にまわってくる?
 1.3 仕事が男性の健康を脅かす?
 1.4 ジェンダー格差大国ニッポン
 1.5 国際的なジェンダー平等の波に乗り遅れた日本
 1.6 「男」とは誰のことか――人間の性の多様性

第2章 ジェンダー平等の実現に向けて求められる男性の「ケア」労働
 2.1 「ケアする男」に今世界が注目
 2.2 家事労働はタダ働き?
 2.3 「育てる男」が男性を変えるキーワード
 2.4 「ケアする男」は男らしい?
 2.5 「男はケアされて当然」ではない

第3章 母親の「イライラ」と父親の「モヤモヤ」――「イクメン」ブームの功罪
 3.1 「取るだけ育休」から「実のある育休」へ
 3.2 子どもがなついてくれない!
 3.3 家事と育児のやり方で妻と衝突 
 3.4 孤立する日本の父親

第4章 家庭教育と父親役割のインフレ現象
 4.1 父親は家庭教育で何を求められているのか
 4.2 父親の教育熱心は今に始まったことではない
 4.3 子どもを中学受験させる現代の父親の心境
 4.4 教育する父親の光と影

第5章 ハラスメントのない職場づくりに男性はどう関わるか
 5.1 「男だろ!」は女性に対するハラスメント?
 5.2 パタハラから考える世代間のギャップ
 5.3 ジェンダー平等が進むと女性によるセクハラが増える?
 5.4 森発言があぶり出した日本の組織文化
 5.5 男性もセクハラに「ノー!」の声を

第6章 社会を挙げてドメスティック・バイオレンス(DV)と虐待を防止する
 6.1 DV問題は当事者だけの問題か
 6.2 DVと虐待は意外と身近に起こっている
 6.3 DVをなくすために男性にもできること

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