マイナビおすすめナビで紹介されました - 2024.08.30
新装版 澁澤榮一
2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一。
日本の資本主義の父といわれ、数々の足跡を残していますが、家族だからこそ知るプライベートも含め、その実像を描いているのが本書です。
著者の渋沢秀雄は、渋沢栄一の四男。栄一の経済人としての足跡にとどまらず、家庭での素顔、父親としての顔も知ることができます。
本書は昭和40年に時事通信社の「一業一人伝」シリーズの一冊として刊行した「澁澤栄一」を新装版として刊行したものです。
* 本書に掲載されているエピソードの一部
・死の直前まで困窮者の救援法制定のため、病をおして大臣に面会した。
・乳児のころ戸障子を閉めずに部屋を出て行く大人に「また戸を閉めずにいく」と説教。
・14歳の時、父親の藍葉の取引で、生産者に細かな注文を付ける。
・同じころ、「天保3年、5,60年前の無縁物のタタリがある」と言った霊媒師に「天保3年なら23年前。そんなお告げは信用できない」と指摘。
・倒幕、尊王攘夷論に染まり、城乗っ取りを図る。徳川慶喜の家来と親しくなり一橋家の家臣に。慶喜が将軍になり、倒幕だったのに幕臣になってしまった。
・著者(渋沢秀雄)に「蚊がたかってくるように、用がたかってくるような人になれ。役に立つ者は用に追いかけられるが、役に立たない者は用のほうで逃げていく」と諭した。
・慶応4年(明治元年)戊辰戦争の中、慶喜の弟、徳川昭武の随員としてパリの万国博覧会に。「株式会社」の存在に瞠目し、後に日本で初の株式会社をつくる。
・帰国。静岡に閉居している慶喜を訪問。「新政府との戦争は何とか手の打ちようがなかったのか」と尋ねると慶喜は「今さら過ぎ去ったことを申しても詮方ない。弟のパリ滞在中の話を聴かせてくれ」。
・予算を組む時、先に軍事費が決定されるのに反発。西郷隆盛に抗議すると、西郷は「いや、もっともでごわす」。
・三菱の岩崎弥太郎と大ゲンカ。三菱の海運事業独占に対抗して、新海運会社を設立しようとするが、三菱はあらゆる手段で妨害。最終的に両者で日本郵船を設立。
・英国との関税交渉で「日本には商工業者の意見をまとめる組織すらない」と言われ、商工会議所を設立。
・政界入りの要請を「民業振興に尽くしたい」と断り続ける。
・縁故や茶屋を介さず芝居が見られる「帝国劇場」を設立。女優を「河原者」からスポットライトを浴びる存在に。
・著者(秀雄)に「もし自分が大石良雄だったら、吉良にワイロを贈った。吉良は貪欲。ワイロは当時法律上の罪ではなかった。それで一国一城が救えるなら贈るのが人情」と、論語を引用して話した。
・本人は花柳界で遊び、愛人宅も持っていたが、長男が女中に手を付け妻を追い出すと長男を廃嫡にした。