元宝塚歌劇団「宙組」初代組長がアドバイス!



宝塚歌劇団「宙組」初代組長がアドバイス!
『「魅せる」ヒント――仕事も人間関係もうまくいく最高のパフォーマンス』(大峯麻友)

 

■紹介文

 世界でも珍しい女性ばかりの劇団である宝塚歌劇団。1970年代の「ベルばら」ブーム以降もその人気は衰えることなく、今でも公演チケットはなかなか手に入らない。著者は「ベルばら」ブーム冷めやらぬ1982年、宝塚歌劇団に68期生として入団。その後、1998年に同劇団が65年ぶりに発足させた「宙組(そらぐみ)」の組長に劇団史上最年少で抜擢される。宝塚のスターと言えば「男役トップ」「娘役トップ」であるが、組長とはそうではなくそれぞれの組(花・月・雪・星・宙)のまとめ役であり、自分の演技のほかに組のマネジメントという重責を担う。著者はもちろんスターを目指して宝塚に入ったのでこの人事は晴天の霹靂であったようだが、持ち前のやる気とチャレンジ精神で過酷な組長という大役に挑む。


 本書の前半では、著者自らの体験談をベースに宝塚内部の裏話を披露する。それは、宝塚独特の厳しい上下関係、厳格な規律、同期の団結・連帯感のほか、著者が組長に就任以降、新設の「宙組」をいかにまとめていったかなどだ。そうしたものがタカラジェンヌとして、人間として、あるいはリーダーとしての成長を促す基盤となっていたことを、具体例を挙げながら説明する。


 例えば、宝塚音楽学校時代の上下関係。上級生に「カラスは白いと思う」と言われたら、下級生は「はい、そうです」と答えなくてはならない。当時は理不尽だと感じるが「今はいろいろな人の意見を聞くことの大切さを学べて役立っている」と語る。また、「チームワークの重要性」「オンとオフを明確に」なども繰り返し意識させられたのだが、宝塚を卒業してもそれらがビジネスの現場で役立つことが骨身にしみて分かるという。


 他にも「挨拶はリーダーからすべし」「下級生の名前を憶え、名前で呼ぶ」「世代間の溝を埋めるには相手を観察し、共通点をつかんでアプローチする」「任せ上手になろう」など、当たり前といえば当たり前のような話だが、肩が凝らず楽しく読めて、それでいて物事の本質をとらえて、なるほどと納得させられる。


 本書の後半では、著者の真骨頂である舞台人としての「魅せる」ための技法を一般の読者が応用できるように解説する。コミュニケーションやプレゼン能力のスキルアップのための具体的な方法が満載だ。いつの時代でもコミュニケーションの取り方、気持ちの切り替え方、モチベーションの保ち方などで悩んでいる人は大勢いるが、環境が違えどもどんな人も類似点はあるはず。本書から、ぜひそのヒントを探ってみてはどうだろうか。

 

■著者プロフィール

大峯麻友(おおみね・まゆ)

兵庫県西宮市出身。1982年、宝塚歌劇団入団(68期生)。見事な演技と下級生から慕われていた存在を認められ、98年、同劇団が65年ぶりに新たに発足させた「宙組」の、劇団史上最年少組長に就任した。2002年、同劇団を退団。現在は俳優・歌手として、舞台やTVドラマ、ライブハウスで活躍しているほか、劇団という組織で培ってきたノウハウや組長としての経験を生かし、コミュニケーションアドバイザーとして講演会や企業研修、トークイベントの講師としても活動中。

Official Website: https://mayusan.net

 

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